不動産営業から賃貸・管理・企画など他職種へ異動はできる?

こんにちは。ミカタ不動産転職の荒川です。
不動産営業として働いていると、「このままずっと営業を続けるのかな」「自分には別の職種のほうが向いているのでは」と考える瞬間があるかもしれません。
特に体力的な負担が大きい営業職を続けていると、ふと「もっと自分に合った働き方があるかも」と感じるのは自然なことです。
しかし、実際に社内で異動できるのか、そもそもそうした仕組みが存在するのかは、会社によって大きく違います。
今回は、不動産営業から賃貸・管理・企画などへの異動は現実的に可能なのか、そのリアルを解説します。
結論:異動の可能性は「会社の規模」と「体制」に左右される
まず最初に押さえておくべきなのは、不動産会社の多くには“そもそも異動先が存在しない”という現実です。
不動産業界の組織は、一般的なメーカーや商社のように多職種で構成されているわけではなく、「営業」を中心としたシンプルな構造が多いのが特徴です。
とくに、地域密着型や社員数10名未満の小規模企業では、部署異動という考え方が存在しないケースも珍しくありません。
小規模会社に多い組織構成のイメージ
このような組織体制では、「異動」といっても営業職以外に移るポジションがほとんどありません。
たとえ「管理業務をやりたい」と希望しても、その業務が社内に存在していなければ実現のしようがないのです。
また、経営者としても「営業=売上を作る要の存在」ですから、売れる営業を別職種に異動させる判断は簡単ではありません。
このような理由から、中小企業では異動はかなり難しいのが現実です。
異動の可能性があるのは“中規模以上の会社”
一方で、一定以上の規模がある不動産会社では、異動のチャンスが十分にあります。
目安としては、次のような会社です。
こうした会社では、個人の実績や社内での評価次第で、管理部門・企画部門・賃貸部門などへの異動が現実的に可能になります。
また、上場企業や大手ディベロッパー、財閥系企業などでは「ジョブローテーション制度」が正式に存在し、数年単位で異動を前提にしたキャリア設計がされているケースもあります。
つまり、異動を実現するためには、会社の規模や仕組みが大前提として整っているかどうかを見極めることが重要なのです。
営業から異動する人に共通する3つの特徴
実際に営業職から別職種に異動する人には、いくつかの共通点があります。
1. 営業として結果を出している
まず第一に、営業として成果を残している人ほど異動が認められやすい傾向があります。
「売上を作れる人」は会社にとって非常に貴重な存在。
だからこそ、実績を残している人が「次は別の形で貢献したい」と申し出た場合、上層部が柔軟に受け入れてくれることが多いのです。
逆に、数字が出ていない状態で異動希望を出しても、「まずは営業で結果を出してから」と言われてしまうのが現実です。
2. 周囲との信頼関係を築いている
異動は制度よりも「人の推薦」で決まるケースが多いです。
上司や役員、人事担当者が「この人なら別部署でも力を発揮できそうだ」と思えば、機会が回ってくる可能性が高まります。
日ごろから周囲への感謝を忘れず、チーム内で信頼を得ておくことが、異動実現への近道です。
3. 自分の強みを具体的に示せる
異動を希望する際、「なぜその職種なのか」「何を活かせるのか」を明確に説明できる人は強いです。
たとえば、
など、会社にとってメリットがある異動理由を提示できると、前向きに検討されやすくなります。
異動先として多い職種の例
不動産営業からのキャリアチェンジ先として多いのは、次の3職種です。
賃貸管理職
入居者対応・物件のメンテナンス・オーナー対応などを行う職種。
営業経験があれば、オーナーとの折衝力やトラブル対応で即戦力になれます。
体力的負担が少なく、安定志向の人に人気があります。
企画・マーケティング職
新規事業の立ち上げや販売戦略の企画など、社内の仕組みを作る仕事。
現場での顧客理解を持つ営業出身者は、市場感覚に優れており重宝されます。
論理的思考と発信力を磨くことでキャリアアップが可能です。
事業開発・管理部門
営業成績や店舗運営のデータをもとに、全体の効率化や教育体制を整えるポジション。
営業出身のマネージャーが多く、キャリアの集大成として選ばれるケースもあります。
異動を叶えるための現実的なステップ
「異動したい」と思ったときに、すぐに人事へ直談判してもうまくいくとは限りません。
ここでは、現場で実際に異動を実現した人たちが取ってきたステップを紹介します。
- 営業として一定の実績を出す
まずは会社に「結果を出せる人」と認識してもらう。 - 希望部署の人と関係を作る
社内イベントや会議などを通じて、希望部署の上司やメンバーと情報交換を行う。 - 異動の理由を“前向きな言葉”で伝える
「営業が合わない」ではなく「この経験を別部署で活かしたい」という言い方が大切。 - タイミングを見極める
期の切り替え時や人事異動の時期など、会社が動きやすい時期を狙う。
異動は「お願い」ではなく、「自分が次にどう貢献できるか」を提案することです。
誠実に、そして戦略的に動くことで、チャンスは確実に広がります。
注意したいのは、「営業が辛いから」「数字に追われたくないから」といった消極的な理由で異動を希望するケース。
これは上司から「逃げたいだけ」と判断され、逆に評価を落とす可能性があります。
営業として成果を出した上で異動を申し出れば、「キャリア志向が高い人」としてポジティブに受け止められます。
まずは“逃げではなく戦略的な異動”を目指す意識を持ちましょう。
まとめ|異動は可能。でもまずは営業で結果を出すことが近道
不動産営業から他職種への異動は、会社の規模や体制によって現実的な難易度が大きく変わります。
そして何より重要なのは、営業で結果を出すことが最大の武器になるという点です。
成果を残して信頼を得れば、会社の中でキャリアの選択肢が一気に広がります。
「このままでいいのか」と悩んだときこそ、焦らず、まずは目の前の営業活動に全力を注いでください。
その積み重ねが、将来自分の理想のキャリアに繋がる一番確実な道になります。


