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マンション管理士とは?難易度や合格率・宅建との違いを解説

マンション管理士とは?難易度や合格率・宅建との違いを解説

不動産業界に関わっている方であれば、一度は耳にしたことがあるであろう「マンション管理士」という資格。

「宅建」や「管理業務主任者」と並び、いわゆる不動産三冠資格(トリプルクラウン)として知られています。

今回は、マンション管理士の役割や宅建との違い、試験の内容・難易度などについて、わかりやすく解説していきます。

マンション管理士とは?どんな資格?

マンション管理士とは、マンションの管理組合に対して運営や管理について助言・指導を行う、いわば「住民側の味方」として働くコンサルタント的な国家資格です。

管理業務主任者が主に「管理会社側」の立場で活動するのに対し、マンション管理士は「住民・管理組合側」に立つ専門家という位置づけになります。

たとえば以下のような場面で活躍します。

  • 適正な管理会社の選定をサポート
  • 管理費や修繕積立金の見直し
  • 老朽化対策や建て替えに関する助言
  • 管理規約の整備

つまり、マンションの資産価値を維持・向上させるための専門家として、大きな役割を果たすのがマンション管理士なのです。

なお、この資格は「名称独占資格」にあたり、無資格者が「マンション管理士」と名乗ることは禁止されています(違反した場合は30万円以下の罰金)。

宅建士との違いとは?

混同されがちですが、宅建士とマンション管理士は、活躍するフィールドも業務内容もまったく異なります。

項目宅地建物取引士(宅建士)マンション管理士
活躍の場不動産取引(売買・賃貸など)マンション管理組合への助言
主な業務契約の重要事項説明・書面交付管理組合運営のコンサルティング
独占業務あり(重要事項説明など)なし(名称独占のみ)
資格の目的公正な不動産取引の担保適切なマンション管理の支援

宅建士は、主に売買や賃貸などの「契約のプロ」。

一方でマンション管理士は、管理組合と一緒にマンションを維持・運営していく「相談役・アドバイザー」といえるでしょう。

マンション管理士と管理業務主任者との違いは?

マンション管理士は「管理業務主任者」とよく比較されることがります。

この2つの資格はとても似ており、実際に試験範囲も多くの部分が重なっています。しかし、立場や業務は以下のように異なります。

管理業務主任者管理会社に所属し、業務委託契約時の重要事項説明などを行う「実務担当」
マンション管理士管理組合から独立した立場で、第三者的に助言・監督を行う「コンサルタント」

つまり、管理業務主任者は「現場の管理担当者」、マンション管理士は「管理の専門アドバイザー」という違いがあるのです。

試験概要|マンション管理士は難しい?

試験日・形式

  • 試験日:毎年11月最終日曜日
  • 試験形式:四肢択一のマークシート方式(全50問・2時間)
  • 受験資格:誰でも可(年齢・学歴不問)

出題範囲

試験科目は大きく3つのカテゴリに分かれています。

1. 法令関係

  • 民法
  • 借地借家法
  • 区分所有法
  • 宅建業法
  • 建替え円滑化法
  • マンション管理適正化法 など

2. 管理実務・会計

  • 会計・税務
  • 管理委託契約
  • 裁判制度 など

3. 建物・設備関係

  • 建物構造・設備の基礎知識
  • 維持管理や修繕、関係法令(建築基準法など)
荒川
ミカタ不動産転職

宅建や管理業務主任者と重複する分野も多く、ダブルライセンスを目指す方には効率的です。

合格率・難易度・勉強時間の目安

 受験者数 合格者数 合格率 合格点
2024年10,955名1,389名12.7%37点
2023年11,158名1,125名10.1%36点
2022年12,209名1,402名11.5%40点
2021年12,520名1,238名9.9%38点
2020年12,198名1,045名8.0%36点
2019年12,021名991名8.2%37点
2018年12,389名975名7.9%38点
2017年13,037名1,168名9.0%36点
2016年13,737名1,101名8.0%35点
2015年14,092名1,158名8.2%38点
2014年14,937名1,260名8.4%36点
  • 合格率: 毎年8〜12%程度(かなり低い)
  • 合格点: 50点満点中35〜40点(年度により変動)
  • 勉強時間: 一般的に600時間程度とされ、宅建の約2倍

参考:資格の学校TAC「マンション管理士の難易度は高い?合格率や対策のポイントを解説」

マンション管理士試験は「宅建よりも難しい」といわれることが多く、単純な暗記では太刀打ちできません。

実務に根差した問題が多く、法律の理解だけでなく、現場感覚や管理運営の視点が問われる試験です。

今後の需要は?マンション管理士の将来性

近年、マンションの老朽化や空き室問題、住民の高齢化、建て替えの合意形成など、マンションを取り巻く問題は複雑化しています。

そうした中で、管理組合に寄り添い、的確なアドバイスを行えるマンション管理士のニーズは年々高まっています。

また、「宅建」「管理業務主任者」とのトリプルクラウンを目指すことで、以下のようなキャリアアップも期待できます。

  • 不動産会社での昇進・待遇アップ
  • マンション管理会社での専門職としての活躍
  • 独立開業・コンサルタントとしての独立
荒川
ミカタ不動産転職

不動産業界において、資格の有無が直接キャリアに影響する場面も多いため、他資格と併せて取得するのもおすすめです。

まとめ

マンション管理士は、管理組合とともにマンションの健全な運営を支える重要な役割を担う国家資格です。

宅建や管理業務主任者と比較しても難易度は高めですが、その分、取得後の専門性や社会的信頼度は高く、今後のキャリアに確実にプラスとなるでしょう。

「不動産業界でスキルを磨きたい」「管理業界で信頼を得たい」という方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

資格は、人生の選択肢を確実に広げてくれます。

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