不動産営業の繁忙期と閑散期はどれくらい差がある?賃貸と売買で異なる実態とは?

「不動産営業って、季節によって忙しさが全然違うって本当?」
「賃貸と売買では繁忙期が違うって聞いたけど、どんな感じなんだろう?」
不動産業界に興味を持つ人なら、一度はそんな疑問を抱いたことがあるはずです。
実際のところ、不動産営業には明確な“繁忙期”と“閑散期”が存在します。
しかも、どちらの時期に何をするかで、その後の成果が大きく変わってくるのです。
今回は、賃貸営業・売買営業それぞれの繁忙期と閑散期の違い、そして時期ごとの働き方のリアルを、現場目線でわかりやすく解説していきます。
不動産業界が“季節で動く”理由とは?
不動産業界の忙しさには、ほぼ毎年同じサイクルがあります。
理由はシンプルで、お客様のライフイベントが特定の時期に集中するからです。
たとえば、1〜3月は「転勤・進学・就職」によって引っ越し需要が急増します。
一方で4月以降になると新生活が始まり、住宅探しは一段落。
これが業界全体で“閑散期”と呼ばれる時期です。
また、売買仲介の場合は「税制」「決算期」「ボーナス支給」なども影響します。
つまり、不動産営業は季節によって仕事の質も量もガラリと変わるのです。
賃貸営業の繁忙期・閑散期はどう違う?リアルな1年の働き方
まずは賃貸営業から見てみましょう。
繁忙期は1〜3月|1年で最も忙しい3ヶ月
1〜3月はまさに賃貸営業の“戦場”。
転勤・入学・就職のシーズンに合わせて、ほとんどの不動産会社がピークを迎えます。
内見予約は朝から晩まで詰まり、1日10組以上対応することも珍しくありません。
「気づけば昼ご飯を食べ損ねた」なんて日も多く、店内は常にお客様でいっぱいになります。
契約も次々に決まり、繁忙期だけで年間売上の半分を稼ぐ営業もいます。
その分、残業や休日出勤が増えるのもこの時期の特徴です。
閑散期(4〜9月)は仕込みとリセットの期間
4月以降は一気に来店数が減り、時間にゆとりが生まれます。
この時期、優秀な営業は「次の繁忙期に備えて準備」しています。
- 管理物件の写真を撮り直す
- SNSやポータルサイトの情報を整理する
- オーナー訪問や新規物件の開拓
つまり、閑散期は“仕込みの時間”なのです。
また、有給や長期休暇を取りやすい時期でもあり、旅行や家族との時間を楽しむ人も多くいます。
秋(10〜12月)は少しずつ動きが戻る
秋になると転勤や結婚による引っ越し需要が再び動き始めます。
1月からの繁忙期を前に、年末に向けた下準備の期間です。
賃貸営業はこの季節の波に合わせて働くのが基本。
まさに「繁忙期で稼ぎ、閑散期で整える」というサイクルで回っています。
売買仲介営業の繁忙期・閑散期は?賃貸との違い
次に、売買仲介営業の年間リズムを見てみましょう。
同じ不動産営業でも、売買は賃貸とはまったく違うタイミングで動きます。
売買営業の繁忙期は「3月」と「9〜12月」
売買の繁忙期は大きく分けて2回。
まず3月は、住宅ローン控除や引っ越しスケジュールの兼ね合いで契約が集中します。
「子どもの入学までに引っ越したい」というニーズが増えるためです。
そしてもう一つのピークが9〜12月。
企業の決算期やボーナス時期が重なるため、購入を検討する人が増えます。
特にマンションや戸建ての契約が一気に動く時期です。
閑散期(5〜8月)は顧客育成のチャンス
5月〜8月は比較的落ち着き、商談よりも「フォロー」「新規開拓」が中心になります。
この時期の営業は、
- お客様への定期連絡
- 資料送付や追客電話
- エリアの価格調査や市場分析
といった地味な作業をこなしています。
ただ、ここでの準備が後半戦の契約数を大きく左右するのも事実。
優秀な営業ほど、閑散期の使い方がうまいと言われます。
契約前後は時間との戦い
繁忙期の売買営業は、1件の契約にかかる時間も長いため、
- 現地調査
- 重要事項説明
- 契約立会い
など、細かい業務が連日続きます。
そのため、日中はお客様対応、夜は書類作成…という長時間勤務になることも。
しかし成約時の達成感は格別で、「この1件のために頑張れた」と感じる営業も多いです。
繁忙期と閑散期では働き方・収入・モチベーションがどう変わる?
不動産営業は季節の波がある分、モチベーションの起伏もあります。
繁忙期は契約が続き、インセンティブが一気に入るため、年収の大部分をこの時期に稼ぐ人もいます。
一方、閑散期は契約数が減るため、固定給のみの月も珍しくありません。
ただ、「閑散期=休み」というわけではなく、優秀な営業ほどこの時期にスキルアップや仕組みづくりに時間を使っています。
「お客様の反響が減る=営業の質を磨くチャンス」
この考え方ができる人ほど、翌年の成績が伸びやすいです。
現役営業の声|繁忙期と閑散期のリアルなギャップ
実際に現場の営業に話を聞くと、こんな声が多く聞かれます。
「2〜3月は昼食も取れないほど忙しい。でも4月になった瞬間、嘘みたいに落ち着くんです」(賃貸営業・28歳)
「売買は年末が勝負。11月〜12月に決まらないと年を越せない雰囲気があります」(売買営業・35歳)
「閑散期はマーケットの勉強をしたり、YouTubeで営業トークを研究しています」(新人営業・24歳)
このように、繁忙期と閑散期の差は大きいですが、それぞれに得られる学びややりがいがあります。
繁忙期でも疲弊しない働き方・時間の使い方
繁忙期は体力的にも精神的にもハードな時期。
それでも長く続けている営業には共通点があります。
- 1日のスケジュールを細かく区切って優先順位を決める
- お客様対応を「チーム」で分担して抱え込まない
- 夜遅くの契約後は翌日にリカバリーを入れる
「全部自分で抱え込まない」ことが、繁忙期を乗り切るコツです。
また、食事や睡眠をおろそかにしないことも、長期的に見れば仕事のパフォーマンスに直結します。
閑散期をチャンスに変える営業の行動術
閑散期は「ヒマ」と感じる人もいますが、実はここが成長のゴールデンタイムです。
特に宅建の勉強を始める人が多く、秋の試験に向けて時間を有効活用できます。
また、体を休めたり旅行したりすることで、繁忙期に備えてリフレッシュする営業もいます。
まとめ|不動産営業は繁忙期・閑散期どちらも成長のチャンス
不動産営業は、1年を通して忙しさの波がはっきりしています。
賃貸営業なら1〜3月、売買営業なら3月と秋冬がピーク。
反対に、春〜夏は比較的落ち着く時期です。
ただし、どちらの時期にも意味があります。
繁忙期は契約で成果を出す期間、閑散期は自分を磨く期間。
このサイクルをうまく活かせる人ほど、安定して成果を出せるようになります。
「忙しい時期に頑張り、落ち着いた時期に整える」
それが不動産営業という仕事の本質かもしれません。
繁忙期の忙しさに圧倒されそうな人も、閑散期の静けさをうまく使えば、きっと1年後には大きな成長を実感できるはずです。


