不動産管理会社で働くために必要な資格を5つ紹介

- 「不動産管理の仕事に資格って必要なの?」
- 「資格があると待遇やキャリアに差が出る?」
そんな疑問を持っている方へ。
不動産管理の仕事では、資格がなくてもできる業務は多いですが、特定の業務や役職には“必ず必要な資格”もあります。さらに、資格を保有していることで採用・昇給・キャリアアップの場面で有利になることも。
この記事では、不動産管理会社で働くうえで役立つ国家資格・公的資格を中心に、実務との関係や難易度、取得後のメリットについて解説します。
不動産管理会社で「必要になる」資格と「あると有利な」資格
まず、不動産業に関わる資格には大きく3種類あります。
このうち、実務や待遇に影響を与えやすいのが国家資格と一部の公的資格です。不動産業界では以下の5つの資格が特に注目されています。
それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。
宅地建物取引士(宅建)
不動産業界で最も有名かつ、業務に直結する国家資格が「宅地建物取引士(宅建士)」です。
どんな仕事で必要?
不動産の売買・賃貸・仲介・代理といった「宅地建物取引業」を営むうえで、事務所ごとに必ず一定数の宅建士を置くことが法律で義務づけられています。
特に重要事項説明など、宅建士しかできない業務があるため、必置資格・業務独占資格として扱われています。
難易度・取得条件
| 合格率 | 約15〜17%(令和6年度:18.6%) | 
| 必要な勉強時間 | 300〜400時間程度が目安 | 
| 受験資格 | 誰でも受験可能(年齢・学歴不問) | 
| 実務登録には | 実務経験2年以上 or 登録実務講習の修了が必要 | 
実務でどう役立つ?
仲介部門ではもちろん、管理部門でもオーナーとの契約、入居者募集に関連する場面などで必要とされます。
また、宅建士手当を支給する企業も多く、昇進にも有利になる傾向があります。

賃貸不動産経営管理士
近年、国家資格化された「賃貸不動産経営管理士」は、賃貸物件の管理を担ううえで重要な資格となりつつあります。
どんな仕事で必要?
2021年から国家資格となり、「業務管理者」としての設置が義務づけられました。
オーナーから委託を受けて管理業務を行う事務所には、法律上は、賃貸住宅管理業者には、営業所または事務所ごとに1名以上の業務管理者 を配置する義務があります。
難易度・取得条件
| 合格率 | 約24.1%(令和6年度) | 
| 受験資格 | 特になし(誰でも可) | 
| 実務登録には | 一定の実務経験または講習修了が必要 | 
実務でどう役立つ?
物件管理、入居者対応、更新・退去時の手続き、家賃管理など幅広い業務に携わる場面で、制度的な裏付けを持つ専門家としての信頼性が増します。
また、宅建士とのダブルライセンスで、賃貸系不動産会社では高く評価される傾向があります。
管理業務主任者
「分譲マンションの管理委託業務」に必須なのが、国家資格である管理業務主任者です。
どんな仕事で必要?
マンション管理会社にとっては、契約や重要事項の説明、報告業務を行ううえで法的に必要な人材です。
管理組合30に対して1人の割合で配置が求められます。
難易度・取得条件
| 合格率 | 約21.3%(令和6年度) | 
| 実務登録には | 2年以上の実務 or 講習修了が必要 | 
| 登録更新 | 5年ごとに更新講習 | 
実務でどう役立つ?
分譲マンション管理業務を受託する管理会社には必須の資格。
顧客(管理組合)との契約の場面で業務を担当できる資格者が社内にいないと、業務受託ができません。
扱う管理組合数が少ない場合には “少なくとも1名” の要件が適用されるなどの例外が定められています。

マンション管理士
マンション管理士は、管理組合に対してコンサルティングを提供する専門資格です。
どんな仕事で必要?
管理会社にとって必須ではありませんが、組合からの相談に対応したり、管理運営に関するアドバイスをする場面で信頼を得られる資格です。独立開業も可能な“名称独占資格”です。
難易度・取得条件
| 合格率 | 約12.7%(令和6年度) | 
試験範囲が広く、管理業務主任者と同時受験する人も多い
実務でどう役立つ?
大規模修繕や管理規約の見直し、理事会運営のアドバイスなど、専門的な知識を活かした対応が可能です。
管理業務主任者とあわせて取得することで、管理会社内での評価も上がります。
不動産コンサルティングマスター
不動産コンサルタントとしての公的資格が「不動産コンサルティングマスター」です。
どんな仕事で必要?
不動産コンサルティングマスターは“国家資格ホルダー向け”の上位資格です。
宅建士・不動産鑑定士・一級建築士のいずれかを持っており、かつ5年以上の実務経験がある人が受験可能です。
難易度・取得条件
| 合格率 | 約41.8%(令和6年度) | 
| 必要資格 | 宅建士・鑑定士・一級建築士のいずれか | 
| 実務経験 | 5年以上 | 
| 認定団体 | 公益財団法人 不動産流通推進センター | 
実務でどう役立つ?
不動産投資のアドバイス、相続・事業承継、土地活用といった高度な相談業務に対応できます。
営業や管理という枠を超えて、コンサルタントとしてのキャリア形成に有利です。独立・開業の際にも強力な武器になります。
資格ごとの違いを整理
| 資格名 | 種類 | 難易度 | 業務との関連 | コメント | 
|---|---|---|---|---|
| 宅地建物取引士 | 国家資格 | ★★ | 売買・賃貸仲介に必須 | 管理職・営業職にも必須級 | 
| 賃貸不動産経営管理士 | 国家資格 | ★ | 賃貸管理で必置 | 宅建士とセットで強力 | 
| 管理業務主任者 | 国家資格 | ★ | 分譲マンション管理で必置 | 管理会社勤務に必須級 | 
| マンション管理士 | 国家資格 | ★★★ | コンサルティング | 管理組合対応や独立にも◎ | 
| 不動産コンサルティングマスター | 公的資格 | ★ | 投資・活用の提案業務など | 上級キャリア・独立向け | 
まとめ:不動産管理の現場では資格が“武器”になる
不動産管理の仕事は、現場経験がものを言う業界ではありますが、制度対応や法令知識が求められる場面も多く、資格の有無がキャリアに直結するケースは珍しくありません。
「まだ資格はないけど、不動産業界に興味がある」という方は、まず宅建や賃貸不動産経営管理士の取得から目指してみるのが現実的です。
また、現職でステップアップを目指したい方や、将来独立も視野に入れている方は、不動産コンサルティングマスターやマンション管理士など、上級資格への挑戦も視野に入れてみてください。
自分のキャリアにとって、どの資格が役立つかを見極めて、着実にスキルアップを図っていきましょう。





